原曲収録：Official髭男dism「Traveler」(2019)

（管理人より） 第72弾は映画『HELLO WORLD』の挿入歌としても使われたこの曲。先に自分の事情を話すと、この映画自体の印象が個人的にすこぶる悪く、原曲もそれに巻き込まれて印象が良くなかったのですが（汗）、このカバーで大きく印象が変わりました。
　印象が変わったポイントは３つあって、まず原曲とキーが変わったこと（いつも原曲通りのキーばかりではありませんが、有希乃さんのカバーでここまで大きく違うのも珍しい？）。それからアコギ１本になったこと。そしてもちろん有希乃さんの歌の力。Official髭男dismは、シンプルな歌詞とキャッチィなメロディを玄人筋にもウケる演奏とアレンジでまとめるというのが大きな魅力なのですが、この３つのバランスが多分難しくて、原曲は前述した事情もあって、なんでここまでコテコテに盛ったのよと思うほど過剰に音の飾りがつけられた印象でした（ストリングスなんていらんだろ、この曲は！って思っちゃいましたよ。映画の劇伴的な役割も求められてたら仕方がないかなあ。）。ところがこのカバーは結果的にその飾りを綺麗さっぱりと取り払ったので、もともと曲が持っていた魅力をそのまま輝かせられたんだなあ、と感じました。でもそれは曲の核となるボーカルの部分が重要にもなるということで、歌い方でやり過ぎるとそれじゃ原曲と同じように台無しになってしまうところをそうせずに、メロディの美しさと言葉の強さと共振しあいながら聴き手に伝わってきます。Official髭男dismのファンの方もきっと納得してもらえるカバーです。